主婦ヘルパーさん退職のお話し
私の大好きな主婦ヘルパーさんが今月で退職されるらしい。
高校生子供さんがおられるらしいけど、若々しくて可愛くて時にオモシロイ素敵な奥様。
専業主婦が長かったとのことで、純粋で何にも染まってない雰囲気。
毎日一緒に働いていて気持ちがイイ仲間。
悪口なんかはまず言わないし利用者さんにはもちろん優しい。気配りもさりげなく、そして細やか。
こんな人ドコに隠れてたんだぁってぐらいの、とびっきりの人材。
こうゆう人に介護されたらみんないつも笑顔で居れるよなぁ。そんな素敵な仲間が辞めてしまうなんて、私は相当のショックを受けた。
だけど退職理由は仕事に対してだから、解決するのは難しい。
メンタル面のサービスはピカイチだけど、介護の仕事の汚い部分や踏み込んだサービスに戸惑いがあれば、続けていくのは難しいのかもしれない。
私の考えは、個々のスタッフが得意分野で活躍して助け合って、トータル的に利用者さんに満足していただけるサービスができればいいと思う。
だけどそれはなかなか難しいし、後々問題になりかねない。
本人さんにもきっと精神的な負担になっていくだろーし。
悔しいけどもう引き止めることはできないんだなぁと納得した。
二人で昼食を取っていると「もうすぐ辞めちゃうけど心配なのはアナタだよ」と言われた。
独身の私が介護の仕事にゾッコンで、汚い仕事もあるから病気をもらったりしないかと心配らしい。
「汚い仕事を嫌がらずするのは素晴らしいけど、自分の身体をもっと大切にしてね。これから結婚して子供産まなくちゃいけないから、余計なモノは貰っちゃダメだよ」と言ってくれた。
こんな優しい言葉をかけてくださるなんて、すごく嬉しかった。
これから寂しくなるなぁ。
こんな素敵な人にはなかなか出会えない。
なんとか引き止めたかったな…。
今日もまたすっごく暑かったので、午後はみなさんのお部屋に伺ってエアコンをつけて廻った。
除湿にしてタイマーをかけておいた。
八十九十のみなさんは、エアコンには相当疎い。
シュンさんの部屋に行き「シュンさん暑くないですぅ?涼しくしましょーか?」
「お願いできる?でもね、つけるスイッチがないのよ。誰かが持ってったんだわ」
そんなハズないけどなぁ〜と探してみると、案の定枕元に置いてあった。
シュンさんが使ったんじゃ〜ん。
「シュンさんあったよぉ」
「あらっ、こんなとこにあったのね。私もダメねぇ」二人で笑いながらエアコンをつけた。
でも表情がなんか暗い。
「シュンさん、どっか具合悪いです?なんか元気がないよ。熱はないみたいだけど…」と額に触ってみた。シュンさんは脱水っぽい雰囲気だった。
「うーん、そうなの。なんか身体がダルイのよぉ」
「シュンさんお茶飲んでおられます?暑いけんお茶飲まんいけんですよね?」と元看護士のシュンさんのプライドを傷つけないようお話する。
「飲んでるんだけどねえ…」でもお部屋にお茶を飲まれた形跡はなかった。
暑い部屋で読書に没頭してしんどくなられたのかも。
「元気が出るように、熱いコーヒーでも煎れてきましょーか?」
シュンさんはニコっと「うん、お願い」コーヒーを持っていき飲んでもらった。
ケアマネに聞いてみたら、シュンさんはコーヒーが大好きだけど、もうひとつポカリが好きらしい。
さすが元看護士。
明日からはポカリを持って行こう。
みなさんが個室で脱水にならないよーに、毎日気を配らなきゃな。なんか仕事してるって気がして、やる気がふつふつと湧いてきた。
帰りぎわ、ヒロさんの入院決定の電話が入った。
明日からと急な連絡だった。
ヒロさんはこないだの受診後から、すでに入院の準備をしておられた。
タオルやらリハパンやらが袋に入っているので「コレお風呂の用意ですか?」と聞くと「いんやぁ、入院の準備だが」
「えっ?いつから?」
「それはわからんだども」何日も前から準備だけはしっかりしておられた。
家族に手間を取らせないよーにと、一人考えて揃えられたんだと思う。
ヒロさんらしい。
明日は入院前に顔を見に行こう。
当分会えないなんて寂しい。
もしかしたらもう会えないのかもしれないなぁ。
ヒロさんはすぐに善くなる状態ではないらしいし…。ヒロさんが善くなって帰ってきてくれることを、ただただ祈るしかできない。