介護の事情
昨日今日と、準夜のおばさんがお休みされた。
しかもドタキャン。
風邪らしいけどホントのところは、ベテランおばさん達の意地悪に疲れてしまわれたんだと思う。
ちょっとヌケた感じのおばさんだから、チャキチャキのベテランおばさんにイジめられててもおかしくない。いつも悪口言われて冷たくされてたからなぁ…可哀想な気もするけど仕事できてなかったから、どっちもどっちなんだけど。
昨日は少しだけ残業し後はおまかせして帰ったから、今日は最後まで残ることにした。
困ったときはお互い様。
それに私は家庭もなく一番若いから、突然の残業も断る理由がない。
だから残るのは仕方なかったりする。けど朝からやってて夜の九時十時までは、やっぱしんどかった。
今日は館内消毒したりと調子に乗って仕事しまくってたので、さすがに疲れた。
だけど、就寝前の入居者さんの雰囲気を感じられてすごくよかった。
準夜は何度かしてたけど、今日が一番楽しかった気がする。
なんか余裕があって、みなさんの夜の姿をじっくり見ることができた。
収穫いっぱいだった。
タツさんがみなさんより遅く夕食に来られたときも、私はウェイトレスのように食堂で待機していた。
「お茶もう一杯いかがですか?」
「おうっ、サンキュー。熱いのな」タツさんはサービスがよくなったことにご満悦の様子だった。
私は以前タツさんのカンファレンスで要望を直接聞いていたから、それを少しでも改善できた気がしてとても嬉しかった。
少しするとシュンさんが買い物へ行かれ、心配しながら待っていると、昼から外出中だったハヤトさんと一緒に帰って来られた。
ハヤトさんがシュンさんの荷物を持ち、夫婦とゆうか親子のように(シュンさんのほうがだいぶ年上)仲良くご帰宅。
「この人若いから荷物持ってくれたのよ」と嬉しそうに私に教えてくれ、ハヤトさんに「ねえアナタ、今度は私をおぶって帰ってね。私おばあちゃんだから」と催促しておられた。
「いいよ、またしてあげる。買い物お疲れさんだったね」とハヤトさん。
なんともほのぼのした、可愛らしい光景だった。
眠剤を配りに行くとタカミさんが「アンタぁ、まだおったかねー。朝から晩まで働かせてなんでかねぇ。はぁ…」と心配してため息までついてくれていた。
「もうこれで帰るけんね。心配してくれてありがとう」服薬を確認して退室しよーとすると「ちょっとアンタ、お茶飲んで帰らんかね?」おもしろすぎる。
「もう九時だけん帰るね。また明日お茶よばれに来ます。ありがとう、おやすみなさい」あいさつをしてもタカミさんはいつまでも手を握ってくれてなかなか退室できなかった。
キクエさんは「奥さん、また来てくださいね」と手を振ってくれ、ヒロさんは「オマエ、これで帰れるなぁ。はよ、帰れ帰れ」ふぇふぇっと笑いながら見送ってくれた。
こんなに優しくされて私って幸せモノだなぁ。みなさんの可愛いパジャマ姿も見れたしな。
気持ちは満足だけど身体はクタクタになった。バスもなくなって途中からは歩いて帰った。疲れた、ホントに疲れた。ビール飲んでもう寝るぞー。