女の戦場介護ヘルパー
昨日の疲れをモロに残しつつ職場に入ると、そのだるさを吹き飛ばす出来事。
昨夕から発熱で心配していたKさんの熱が下がったとのこと。よかったぁ〜、幸せな気持ちになる。これで今日もがんばれそう。
朝一番はNさん宅の掃除。
「何べんも死にかけた」Nさんの顔を思い浮べながらエレベーターに向うと、Nさんが降りてきてビックリ。
「おはようございます、いまから掃除させてもらいたいけどぉ…」…「ああ、してください」……「えっ?勝手にしていいんですかぁ?」「ああ、してください。わしはつまらんでここへ来たところだけん」まぁいっか。
余計な物が一切ない、生活感のないお部屋をチャチャっと掃除させて頂く。確かにつまらないよなぁ、ここで一人テレビを見て、一日三回の食事とお風呂や散歩の声掛けを待っている生活。
「することがなくてつまらんわ〜」その気持ちを想うと切なくなる。
掃除が終わったことを知らせに行くと、ポツンと食堂で座っておられた。私の身体が二つになれば楽しい場所へ連れってあげたいんだけど…もうミーティングだしなぁ。ごめんね、Nさん。
今朝のミーティングの最後、私は今日一日書類整理をしてくれとのこと。疲れてる姿を見て上司が提案してくれた。有り難いなぁ…イイとこあるじゃんっ。
のハズが、最後の最後に全館掃除の命令がぁ〜。最近体調不良者が多いから消毒して回ってくれと。マジでぇ?と思いながらも皆さんの身体を想えばがんばるしかない。雑巾片手に手すりやらなんやらを汗だくで拭きまくる。疲れたぁ〜。
手が空いたところで熱の下がったKさんを尋ねる。
「おかげんいかがですかぁ?」なにやら不穏な表情。
「おとーさんとおかーさんがおらんのです。私は顔が見たいのに、来てくれんのです…」Kさんの両親が健在であればテレビに引っ張りダコだろーなぁ、などと考えながらKさんを見る。
昨日から解熱剤やら眠剤やらと薬を多く飲まれたためか、まだ覚醒してないKさんは目を閉じたまま夢と現実、そしてKさんの中の現実を行ったり来たりしている。
「目を開けてみて」と目を合わせながらお話すると、少しずついつもKさんに戻っていく。
でも今日は不穏だなぁ。不安そうな顔を見るのはツライ。やっぱり笑っていてほしいもん。今日はKさんを要観察だな、と思い部屋をあとにする。
今日は流れがスムーズなのかもしれない。皆さんの流れにタイミングが合いまくって、休憩もゆっくり取れた。
何日ぶりだろう、このゆとり。心配していたKさんも息子さんの来訪に、ひまわりのような笑顔であーだこーだと喋りまくっている。
さっきまであんなに不安そうだったのに…家族にはどうやったってかなわない。わかっちゃいるけどね。ちょっと悲しくなるのが本音だけど、笑ってくれることがなによりだから。
午後は書類整理だし楽勝だな。
おばさんヘルパーの視線(なんでアノ子だけ書類整理なのぉ?)を感じつつ書類に埋もれ没頭。事務所では管理職事務職の人たちがなんだかんだと文句を言っている。誰のことやら何のことやらサッパリだけど、井戸端会議とかゆうやつだな。女の職場にはツキモノだから知らん顔してるのが一番。ホントは気になるんだけど。