介護の仕事ってやっぱりステキ!
先週行なわれたカンファレンス記録をいまだに提出していなかったので、朝一番にやり始めた。
カンファレンスは利用者のTさんも同席されたのでとても内容の濃いものだった。
Tさんは離婚されていて独り身。
身体に障害があるためにサービスを受けておられるが、介護保険制度が代わったことでサービスの幅が狭くなることを心配しておられた。
不安な気持ちを話され、なんとかやって行きましょうとみんなで話し合い安心された。
最後に不満な点を話された。
「ここはみんな早い時間に夕飯食べられるみたいだけど、僕は仕事もしてるしそんなに早くは食べれないよ」Tさんは毎日車を運転し夕方まで仕事に行っておられる。
「帰って他の人が終わった頃に食堂へ行ってもヘルパーさんほとんどいないでしょ?悪いから謝りながら配膳をお願いするけど、それはどうなんだろうかと思ってるよ。それぞれ生活のリズムが違うんだから、僕の時間にサービスを合わせてはもらえないものだろうかって思うよ。同じ住人なんだから」グサっときた。Tさんが夕食に来られる時間とスタッフ退社の時間がちょうど重なってしまう。
スタッフは早く帰りたいからジリジリしながらTさんを待っている。
私たちにとってTさんの配膳は30回のうちの一回だけど、Tさんにとっては一回のうちの一回。
そういう基本的なところに誰も目が届いてなかったなんて、本当に申し訳なかったなぁと思った。
記録を終えてロンさんのお部屋の掃除に行った。
Rさんは太い黒眉に角苅りの一見コワイおじいさん。
慣れないころはビクビクしながら訪室していたけど、本当は話好きの優しいおじいさんとわかり、いまは仲良くさせて頂いている。
「掃除かぁ、わしが寝ちょったらいけんわな〜」今日は天気もどんよりしているから身体がだるいらしい。「いいですよ、今日は拭き掃除と花の水替えだけしときましょーかね」「いいかいなぁ」拭き掃除と水替えを終わりかけたとき起きてこられた。
そろそろだな。
「お茶飲んでいきなさい」やっぱり!Rさんは煎茶を煎れてくださり、幼い頃の話をはじめられた。
利用者さんが自分の話を聞かせて下さるのは本当に嬉しい。
でも私には仕事が残っている。ど〜しよぉ…。
「Rさん、ごちそうさまでした。美味しかったぁ」「…もう一杯飲みなさい」こんな具合に何杯も頂き、時間を過ぎてもなかなか帰るタイミングをつかめかった。「また話聞かせてくださいね〜」と後ろ髪を引かれながら退室した。
昼食の前に食堂のテーブルを拭いていると、Sさんがタバコを吸いながら「ねーちゃんは独身主義か?」なんで私が独身って知ってんだよ。
「結婚したいけど、こればっかりは一人ではね〜。Sさんは独身主義ですか?」
「俺は二回したよ」
マジで?「三回目はあるの?ここで見つける?」「もうじーさんになったけん無理かなぁ」そういえばSさん、こないだはこんなことを言ってたな。
「ねーちゃんのために隣の空き部屋、俺が借りとくわ。俺がおるうちに隣に越してくるだわ。それまで家賃払い続けるけん」ちょっとコワイ。
女好きと噂のあるSさん。いまのところお触りはないけど気をつけとこう。
午後の入浴。
Mさんを誘いに行った。Mさんは奥さんのYさんと一緒に入居しておられる。
「Mさぁん、お風呂行かれませんかぁ?」
「おっ、行く。サイコーサイコー!ばーさん、風呂だ」Yさんは耳が遠いのでなんとなくしか伝わっていない。
私を見て「じーさんの風呂か?用意せななぁ」腰のまがった小さなYさんがクローゼットを開けて下着を出してくださる。
「こないだズボンを替えてないけん、今日はズボン洗いましょーか」と私が言うと「洗わんでええ。寝とるだけで何もせんが。汚れりゃせん」
Mさんも「これでいい。汚れとりゃせん」お二人は洋服を替えることを嫌がられるので、何度かに一度しか交渉は成立しない。
「じゃあ今日は下着とタオルだけ預かって行きますね」今日は諦めよう。
Mさんはお風呂が大好きで「い〜い湯〜だな」を連発。
「よかったぁ、よかったぁ」と最後まで言ってくださるので、汗をかいた甲斐があったなぁといつも疲れが吹っ飛ぶ。「男前になったね」と言うと「ばーさんが惚れるな」と可愛く笑われた。
「ばーさん、帰ったぞー!」とお部屋に帰られると「じーさん、ええ男になったなぁ」とYさん。
可愛らしいご夫婦だなぁと思う。
70年も一緒に暮らし沢山のことを乗り越えてきて、90歳半ばでこんなラブラブな会話ができるなんて本当に素敵な関係。
私もこんな関係を築ける相手と出会いたいなぁ。