介護ヘルパーの小さな信頼関係
休憩一時間なんて、まったくあったもんじゃない。弁当を食べ終えタバコを一服…やっと生き返ったぁ〜。
と休息も束の間、Sさんからのコール。ここのところ不調のためにお部屋での食事が定着してきたSさん。
「盆を下げて」コールだよぉ…ため息をつきながらもお部屋の前で笑顔を作り訪室する。
「あらアンタごめんよ。もう私はダメっ。ごはんもあんまり食べれんし…」デターっ!毎日この台詞を何回聞き、そして何回「そんなことないですよぉ。起きれるよーになられたし、今日は顔色がすごくイイ!」こんな台詞を言ってるんだろう。
Sさんは起きれるし食べれるし、本来なら食堂へ降りてもらいたいんだけど・・・
これがこの方の生き方なんだと思う。寂しいから注目されたいし心配されて大事にされたい。これが一番難しいところのような気がする。甘えとかワガママって言えばそれまでだけど・・・
私はケアをする相手に共感して、そこで安心してもらいたいと思う。でもそれができることをできなくすることもあるんだよねぇ。けど私みたいな若造は偉そうなことは言えないし、言ったところで逆に小さな信頼関係を崩してしまう。だから私は笑顔で元気づけながら軽いジャブをいれる程度しかできない。
肝心なところはケアマネさんにお任せするに限る。ケアマネさんが「このままじゃ動けんよーになるよ」って言えば「わかってるから、来週から食堂に降りるわね」って答えが返ってくるんだもん。利用者さんはスタッフをよく見ていて使い分けることがとてもウマイ。人生のベテランだからねぇ。
午後の入浴がそろそろ始まるなぁ〜
この暑い日に男性の入浴介助は、ホンっトに地獄。
ニコニコ可愛らしいNさんからスタート。
原爆から逃れ生き延びた話をいつもしてくれる「わしは何べんも死にかけたわ〜」が口癖のおじいさん。
忙しなくも笑顔で冗談を言いながら介助していく。男の身体を洗うなんて…と慣れないころは恥ずかしい気もしたけれど、いまはヨユウでどこまでも洗わせて頂く。
おじいさんたちはタオルで前を隠して、照れ臭そうにでも嬉しそうにお風呂に入られる。カワイイなぁ。
結局二人のヘルパーで十人のおじいさんの入浴介助。
さすがに疲れる。おじいさんたちは女性に身体を洗ってもらい、気持ち若返ったように浴室をあとにするんだけど、いつも私たちはグッタリ老けてしまう。
化粧が落ちてテンションも下がる。ホントに。まぁでも、みんな気持ち良さそうだったからなぁ、ヨシだな。
夕方はバイタルチェックと夕食準備。
まだ外は明るいけれど、みなさんがまた食堂にポツリポツリと集合される。テーブルを拭いていると「私がしましょーか?」とKさん。天使だぁ。この忙しいときに手伝ってくださるKさんはホントに天使だよ。ありがとうございます。お言葉に甘えて私はお茶の準備をする。
なんだかんだで勤務時間をだいぶ過ぎてから今日の記録。
疲れた私を見て、所長がひとこと「手を抜けるとこ、抜いていいけんね。大変だけん」なぬぅー、ふざけるなー!手を抜けるとこなんてないし、手抜き仕事なんてしたくないんだよ。そんなこと言うなら手伝ってよ…。でも労を労って下さったことは嬉しかった。こんな上司なかなかいないもん。ありがとうございます。また明日も疲れるんだろーなぁ。
でも「アンタの笑顔で元気が出るわ」とか言われちゃったりするし、がんばるしかないよな〜。