介護の理想を思いながら・・・
今日は準夜で昼から夜遅くまでだった。
朝ゆっくり寝れるのは気持ちイイなぁ。
前の職場では夜勤が月5〜6回あったから朝寝はできたけど、生活のバランスが崩れてダルダルだった。いまは昼間だけだから調子がいい。朝寝を楽しめないのはちょっと残念だけど。
昼職場に行くとシゲさんがゆっくり食事をしておられる最中だった。
シゲさんは普段ほとんど喋られない。
たまに喋られるのは「ありがとう」と感謝してくれたときと、「なにしちょーか!」「もたもたすーな!」「痛いがなぁ!」と怒り爆発のとき。
怒ると思わず大声が出るらしい。
自分の思うようにならないときや、男性スタッフなんかにはよく言われるらしい。
『無気力症候群』とでも言うのか、生きる意欲がない。
たまに歩行器で歩かれたりポータブルトイレを使用されることもあるが、自らしようとゆうことはあまりない。
力はあるはずなのに…。
いままでの生活や家庭事情から、家族からは見離された状態。
そしていまは車椅子でリハパン生活。
意欲を失うのは無理もないと思う。
けれどシゲさんは女性が大好きだから「シゲさん!」と声をかけるとニコっと笑顔になる。
まあそれもいつもとゆうわけではないんだけど。
この2〜3日さらにやる気がないようで、食事もなかなか入っていかない。飲み込みが悪いからしんどいんだろーけど、精神的なものが大きいと思う。
意欲がないから食事をしない。そうすれば脱水から健康状態が悪くなる。人は意欲を失うと身体を壊して
しまう。
まさに『病は気から』だよなぁ、と実感する。
食事の途中「あ〜、あ〜」と大声を出し、苦しそうな表情をされる。
心配して「シゲさん、どうしたぁ?」と笑顔で話し掛けるもシカメっ面。
こっちまでテンションが下がる。
バイタルに異常はない。
それでも介助をすると少しづつ食べられるから、甘えもあるのだと思う。
こんなシゲさんだから、オムツ交換や食事の際には女性スタッフが必要以上に話し掛ける。
私が思うに、これってシゲさんの作戦なのかもしれない。
しかもみごとにビンゴしている。女性から話し掛けられるのが、いまの生活の楽しみと思うから。
大げさに言えば、みんながシゲさんの笑顔とシカメっ面に一喜一憂してるワケだから、やっぱシゲさんの作戦成功なんじゃないかなぁ。
こんなふうに見るのは良くないんだろーけど、シゲさんを見ているとこんなふうに思えてならない。
でもやっぱ「シゲさんっ!」と声をかけるのは、普段ふさぎ込んでいるシゲさんの満面の笑みが私たちを元気にしてくれるからだと思う。
準夜の最後の仕事は、数人の方の眠剤の服薬確認。眠剤を配っているにもかかわらず、みなさんウトウト休みかけておられた。
眠れるのに眠剤ってなんだよぉ〜、が私の気持ち。
眠剤を飲む効果って、『よく眠れる』とかよりも『介護者の負担軽減』のほうが断然大きいと思う。
在宅で介護されてる方なんかは特にそうだと思う。
そうしなきゃできないもん。
介護疲れで倒れちゃったら大変だし、いまの生活を守って一緒に暮らすためには仕方がない。
実際私が在宅で介護をしてたら、きっと飲ませて眠らせるだろうなぁ。
だけど気持ちとしては、薬なんかで眠らせるのってどうなんだろうって感じがする。特にお金もらってるプロなら、それでいいんかなぁみたいな。
介護される側にいる方々で、眠剤や下剤を服用してる方は多い。
老人病院なんてバカみたいに薬でコントロールしている。はじめて見たときにはホントに驚いたもん。
でも必要ない人ってたくさんいると思う。
必要ないから服薬しなくていいように、生活のリズムをつくるのも介護の仕事のような気がする。
介護を仕事としているプロならそこまでやるべきだ、とか偉そうなことを思ってしまう。まあ理想なんだけど。
実際にはなかなかできることじゃないもんなぁ…。
いつもこうやって理想を思いながら、実際には何もできてない自分が嫌になってしまう。
せめてこんな気持ちをぶつけ合ってわかり合える仲間をつくりたいなぁ。