なんか嬉しい介護ヘルパー
私が書類整理をしている間、おばさんヘルパーが入浴介助をしている。
そろそろ体操の時間。十人ほどの体操好きの方々がホールで待っておられた。
「体操まだかね?」入浴がひと段落したヘルパーと二人で「1、2、3…」と声を出しながら一緒に体操を行なう。
皆さんにとって体操は健康の源であり、自分の大切な仕事であり、なにより楽しみである。
体操のあとのティータイム(お菓子付き)これがまた楽しみなんだなぁ。「やっぱりお茶は熱い煎茶だわ」「どのお菓子がいいだぁか〜」「ほんならひとつもらうわ」ほのぼのとした時間。見てるだけで笑顔になってしまう。
夕方廊下を歩いているとTさんがヒョコヒョコ忙しく茶器を洗いに洗面所へ向うところだった。
「あらアンタ、まんだ世話やいちょーかね。昨日も遅くまで働いちょったが、また今日も仕事させられちょーかね。可哀想になんでかねぇ」と私の身体を心配して怒りだす勢い。
ヘルパーであると事情を説明しても、Tさんには私がコキ使われている可哀想な女の子と映っているらしい。
掃除に行けば「お茶飲むだわ」とお茶をご馳走して下さり、「コレ持って帰るだわ」とお菓子や小物をくれようとする。
入浴介助のあとには現金をくれようとしていた。もちろん頂けないので「気持ちだけ頂きます」と言うが、これがなかなか諦めてくれない。ちょっぴり頑固なお洒落で優しいおばあさん。一日に三回はお互いに手を握りお礼を言い合っている。
私みたいな若造に「ありがとう、ありがとう」とシワくちゃの手でいつまでもお礼を言って下さるTさん。
やっぱり私は幸せモノだなぁと実感する。
夕方の排泄ケアに回る。
廊下の端の長椅子に一人Hさんが座って外を眺めている。
私はHさんが大好きなのだけど、Hさんは自分の世界を持っていていつも一人で過ごしている。
「Hさん、何してるの?」「ふぇふぇっ、なんもしておらんが」笑顔のHさんの隣に座り同じ景色を見る。
ひとり好きのHさんと、二人の時間を持てたことがなんか嬉しい。「仕事に行かないけんわ」と私が立ち上がると「ふぇふぇっ」と笑顔で見送ってくれた。
夕方の仕事もビックリするほどスムーズに進み、今日は定刻で帰れるみたい。よかったぁ。帰って缶ビールだぁ。