要介護認定と介護サービス給付−自分らしく介護
介護サービスの利用に先立って利用者が介護を要する状態であることを公的に認定(要介護認定)される必要がある。これは、医療機関を受診した時点で要医療状態であるかどうかを医師が判定できる健康保険制度と対照的である。
要介護度審査は、保険者(調査員)が行う認定調査の結果と主治医の作成する意見書をもとに保険者(市町村および特別区、広域連合、一部事務組合)が運営する認定審査会によって行われる。認定審査会では、認定ソフトの1次判定結果(上記認定調査の結果)と主治医意見書とに基づき、2次判定を行い、最終的に「要支援」、「要介護1」〜「要介護5」の6段階に分けられる(「非該当」を含めれば7段階となる)。保険者は、この審査結果を元に申請者に介護度を認定する。なお、2006年(平成18年度)の介護保険制度改正で、さらに「要支援2」が加えられ、従来の「要支援」は「要支援1」へと変更された。これら要支援・要介護度を元に、どのような居宅介護サービスを組み合わせて利用するかコーディネイトするのが介護支援専門員(ケアマネージャー)である。(要支援1・2は市区町村運営の地域包括支援センターがコーディネートする)
また、医療サービスの種類及び量を医師が決定する健康保険制度と異なり、要介護認定の結果により、定められた支給限度額の範囲内で、利用者が希望するサービスを組み合わせて利用できるところに特徴がある。
原則として、利用する介護サービス事業者は介護保険の指定を受けている必要があり、給付費は事業者側へ直接支払われる(現物給付)。
住宅改修や、福祉用具の購入など、保険者(市町村)への支給申請により、利用者が費用を負担したものに対し、後で給付費が現金で支給される償還払いの制度もある。
施行前は要介護者の増大や社会的入院が大きな問題となっており、在宅介護(居宅介護)を推進するため制度が発足した。かつては介護サービスがあっても、サービス量の絶対的不足から利用者に応じたサービス提供は難しく、自宅介護は困難なことが多かった。現在でも、さしあたり「預けられる」入所介護施設の整備が課題の一つである。